グルーミングバーンやパウダーで足の心配をすることなく滑るためには、スキーブーツ選びはとても重要です。ブーツとスキーの連携は必要不可欠です。快適性は言うまでもなく、滑走中に十分なサポートをしてもらわなければなりません。ここでは正しくブーツを選ぶためのアドバイスをします。
スキーブーツの特性
自分に最適なブーツのモデルを見つけるためには、ほかにも考慮しなければならない点があります。サイズ、フレックス、ブーツシェルの形状やカフなどの要素に加え、ウォークポジションがあるかどうかなどです。
男性用ブーツ・女性用ブーツの違い
男性用と女性用のスキーブーツは、特にふくらはぎの形状の違いにおいて人間工学的な視点に立って設計されています。一般的に女性のふくらはぎの位置は男性よりも下の方にあります。そのため、女性用スキーブーツのカフ(ブーツの上部)の高さは低く抑えられ、また上に向かって広がっています。ふくらはぎの形状に合わせるため、ブーツ後部は独特な形状になっています。
女性は寒さに敏感な傾向があり、血液循環と静脈還流の問題を起こしやすいため、一般的に女性用ブーツの裏地は暖かくなっています。
フレックス
スキーブーツを選ぶ際にフレックスと剛性は考慮すべき要素です。60 〜150段階のフレックス指数で表され、スキーヤーの能力と体型によって最適なレンジが決まります。レベルの高いスキーヤーの場合は、脚からスキーへのパワーをダイレクトに伝達できる剛性の高いブーツが良いでしょう。身体の大きなスキーヤーの場合も、硬めのフレックスが必要でしょう。
- 初心者レベル:男性はフレックス60〜90、女性はフレックス60〜70
- 中級者レベル:男性はフレックス90〜110、女性はフレックス70〜90
- 上級者レベル:男性はフレックス110以上、女性はフレックス90以上
- 競技選手用:フレックス140〜150で調整された最も硬いスキーブーツ
フレックス指数は公式標準ではないので、ブランドによって剛性に違いがあります。
スキーブーツに柔軟性を持たせたい場合、トップストラップを緩めることで剛性を調整することができます。
正しいサイズの選定
長さ
スキーブーツのサイズは、足の最大長をセンチメートル単位で測定したモンドサイズで表されます。普通のシューズとはことなりスキーブーツはスキーヤーの足にピッタリと合っている必要があります。75%のスキーヤーは、2サイズも大きいブーツを選んでいると言われています。
足のサイズを測って自分のモンドサイズを決めるのはとても簡単です。
- 紙を壁際に置きます
- 踵を壁につけて紙の上に足を置きます。
- 軽く膝を曲げ、足の前方周囲をなぞって線を引きます。
- 逆の足も同様にします
- 最も長いところを測定したら、それがモンドサイズとなります。
一般的にスキーブーツにはハーフサイズが用意されています。もし2つのサイズで迷った場合、履いているうちにブーツ裏地が多少つぶれることを考慮し、ハーフサイズ小さい方を選びましょう。
幅
LAST(足の親指と小指の付け根の骨が張り出した部分の幅を測ったもの)は足の一番幅の広い部分で、スキーブーツの幅を表します。これは足の周囲をなぞって線を描くことで簡単に測れます。
どのくらいの精度で滑るのかを考慮してスキーブーツの幅(LAST)を選びます。
- 92mm:とても幅が狭い。競技者専用。
- 96-98mm:幅が狭い。幅の狭い足用、もしくは快適さよりも精度を重視するスキーヤー向け。
- 100mm:中間の幅。多くのスキーヤーに適しています。
- 102mm:幅の広い足用。
- 104mm:とても幅の広い足用。
あなたに合った幅のブーツを選ぶことで、快適で安全なスキー操作をできるようになります。もし精度を重視するなら、より狭い幅のスキーブーツを選んでください。幅が広すぎるスキーブーツは、足をホールドできないので、スキーのコントロールが難しくなります。
自分のスキースタイルを決める
男性用または女性用、サイズ、幅を考慮することは、自分の足に合ったスキーブーツを選ぶために必要な最初のステップです。また、スキーのレベルや滑る地形に合わせてブーツ選びも考えなければなりません。自分のスキースタイルに合ったレンジのブーツを選ぶことが必要です。
グルーミングバーンで楽しく滑る
オンピステスキー用に提供されているスキーブーツモデルは、柔軟性(フレックス90未満)があり、快適で使いやすくなっています。履きやすく軽量で、ウォークモードがついたモデルもあります。
これらのブーツは、初心者またはたまにしかスキーをしない方に向いています。
グルーミングバーン用の高レベルスキーと競技スキー
オンピステで高いレベルのスキーをする場合、より剛性のあるブーツを考えたほうが良いでしょう(男性はフレックス90〜130、女性はフレックス70〜 110)。これらのブーツはつま先に向かって前傾しており、高いフィット感と高いカフにより、コントロール性が高くなっています。
フリーライドとフリーツーリング
高い技術を持ち、グルーミングバーンから抜け出して滑る場合、フレックス100〜120程度、カフはストレートで平均的なブーツ幅100mmのフリーライドブーツを選びましょう。楽に歩くためのフリーライドのオプションとして、ラバーソールや、カフを解放できるウォークモードなどがあります。
フリーツーリングをするスキーヤーは、スキンをつけてハイクアップしてから滑り降ります。こういったスキーヤーは、滑降時でも性能を発揮し、かつ、ハイクアップもできる軽量なブーツを探しましょう。インサートがあるブーツは、ツーリング用のピンビンディングと、フリーツーリング用に設計されたハイブリッドビンディングの両方に使えます。
スキーツーリング
スキーツーリングでは、スキーのソールに固定するスキンと、歩きやすくするためのヒールフリービンディングを使ってハイクアップします。
ツーリングブーツは軽量で、ウォークモードはカフが自由に動くのでとても歩きやすくなります。とても柔軟なので、フレックスの詳細は表示されていません。
ツーリングブーツの金属製インサートは普及しつつあります。これらのインサートは軽量なツーリング用ピンビンディングに対応していることが不可欠です。
フリースタイル
フリースタイルスキーヤーが最初に探すのが、ジャンプ着地時のショックを吸収するクッションが踵に備わった柔軟なブーツです。快適性と精度を両立するために、足幅のサイズは平均的な100mmをおすすめします。
テレマーク
ターン中に見られる片膝を曲げる技術(外側のスキーを前に出し内側の膝は曲げて踵をあげる)のため、テレマークブーツとビンディングは特殊な作りになっています。テレマークブーツは大きく屈曲するので、アルペンスキーブーツよりもハーフサイズから1サイズ大きいブーツを選びます。
自分に合ったスキーブーツを見つけたけれど、もっと快適にしたい場合はどうしたら良いでしょうか?まずは、サイズの合ったスキー用ソックスを持っているかを確認してください。サーモフォーマブル・ブーツライナーは、熱を加えることで足の形状に合わせてその形を変えることができます。自分の足に合わせてカスタムしたソールを元々のインソールと入れ替えることもできます。いずれも専門店に依頼することをおすすめします。
最後に、専門店または足の専門医が提供するブーツフィッティングのサービスに頼ることもできます。不快感がある部分の周囲のシェルを広げることにより、スキーブーツを足に合わせてカスタムフィットさせることができます。
ブーツが快適であれば、スキーを選ぶときに迷わず前に踏み出せます!