総距離515kmのトライアスロン「ウルトラマン」を目指して
文:今泉 瑞希
2024年7月、ずっと憧れていた大会 ULTRAMAN TRIATHLON CANADA に挑戦しました。
『ウルトラマントライアスロン』・・・聞いたことのない方が多いかと思いますが、なんとなく想像はできるでしょうか。その名の通りウルトラなトライアスロンです。IRONMANは聞いたことがある方も多いと思いますが、ULTRAMANの距離はIRONMANのおよそ倍。スイム10kmバイク420kmラン85km総距離は515km、制限時間は36時間です。
ULTRAMANブランドレースは世界3カ所(フロリダ・アリゾナ・カナダ)で開催され、各大会が予選となり、例年11月にハワイ・KONAで行われる世界選手権があります。
挑戦のきっかけ
2018年に当時25歳で初挑戦したIRONMANを完走。その時仲間からIRONMANの次はULTRAMANがあると教えてもらい、その頃からずっと憧れていた大会でした。私のレーススタイルは『ゆるく楽しく』なので、それから6年経った今もお世辞にも速いとは言えない凡人です。速さを求めるのは苦手なので、IRONMANは毎回マイペースに挑戦していて2023年に出場したIRONAMN世界選手権も含め過去4回完走しました。IRONMANにスピードを求めないとなると、次の挑戦は距離を伸ばすしかない・・・とULTRAMAN出場を決めました。
出国前。かなりの大荷物!
レースレポート
ULTRAMANはエイドの設置がないのでサポートクルーが2〜4人必須になります。今回はトライアスロン歴13年のチーフクルー/元プロロード選手のメカニック/現日本代表のロード選手/マッサージ店勤務の母の4人でチームを組みました。
また、使用した車はごく一般的なレンタカーのミニバン。車にはサポートクルー4人の他にスペアバイク・スペアホイール・クーラーボックス・私の補給に加えてクルーのご飯なども積まなければならないのでぎゅうぎゅうな空間で36時間近く過ごしてもらいました。
スイム
スイムは10km1wayで対岸まで湖を一直線に泳ぐコース。湖といってもとても広いので波がある日もあるのですが、レース当日はとても穏やかで良いコンディションでした。カヤックの伴走が必須なのでレンタルしたカヤックに水、補給を積んでスタート。1500mごとに休憩をとりカヤックに捕まって水分・エネルギー補給。練習でもカヤック伴走は2回できたので練習通りに落ち着いて泳げました。
バイク
バイクは420km湖畔や広大な山岳地帯を走るコース。山間部も多かったですがヒルクライムのような本格的な登りはなく、細かなアップダウンが続くレイアウトでした。サポートクルーには車で追走してもらい、30分に1回ほどは会話ができたので氷や水や食料などの補給はスムースでした。
絶景のバイクコース
スムースとはいえ毎回補給を受け取っていると時間ロスにつながるため、今回はお腹に2ℓのハイドレーションを直入れしていました。この走法はトライアスロン界ではメジャーで、禁止されている大会もあるくらいですが、自転車への水分の積載量が増やせて、空気抵抗も良くなります。開催地のカナダ・ペンティクトンは数秒に1度水分を飲みたくなるくらいの乾燥地帯だったのでこの作戦はとても有効でした。あまりにも乾燥していたので途中キャンディも舐めながら走る場面もありました。
バイクコースの名物トラップ
ラン
ランは85km1wayで途中36km区間はダートのコース。標高は800m〜1100mほどがメインで前半登り基調、後半下り基調のレイアウト。日本でいうマイナー林道のような道で店は一切なくキャンプ場や別荘が数軒あるのみ。サポートクルーは1人伴走OKで他のクルーは車で追走するルールだったので、常に伴走してもらいながら車は1kmに1回以上は停まってもらいサポートしてもらいました。
事前情報では前半20kmは伴走NGと聞いていたので、1km毎にクルーに会えるとはいえランニングベストに最低限の補給を入れる予定でしたが、今回はスタートから伴走OKとのことだったのでクルーに8ℓのバックパックを背負ってもらい、隣でサポートを受ける形にしました(このルールは例年の参加人数によって決まるそう)。
練習として普段からトレイルランニングを取り入れていて伊豆トレイルジャーニーにも出場しましたが、今回のコースはITJととても似ていたので、この大会を選択してよかったです。
練習として、トレイルランニングも。
そして、ついに。
ゴールでは数時間前にフィニッシュした選手もクルーも全員待っていてくれて盛大に迎えてくれました。途中辛くなって歩いてしまった場面もありましたが、応援してくれている方々の顔を思い浮かべて最後まで走り切ることができました!
フィニッシュした瞬間の景色は一生忘れません。記録は33時間46分27秒。
レース期間中の天候は晴れ時々曇り/最高気温30℃/最低気温12℃/水温18℃、特にラン中は曇りがちな天候で恵まれたコンディションでした。
クルーも揃って無事にゴール
準備万全すぎたレース
2022年の夏に出場を決め、約2年かけてしっかり準備したので大きなトラブルなくレースを終えることができました。バイク中にパンクが1回ありましたが、メカニックがすぐに対応してくれてロスタイムは10分ほどで済み、バイクとランでは熱中症症状が出てしまい相当な量の氷を消費しましたがしっかり冷やせたおかげで軽度で済みました。
一番大きなトラブルといえば、クルーが出国前に自分のキャリーケースを自宅に忘れたことくらい(笑)幸いレースの必需品は入っていない荷物だったので空港で衣類を調達してなんとかリカバリー。帰国時もロストバゲージがありましたが、後日無事見つかりました。トライアスロンはどうしても荷物が多くなりがちでロストバゲージも起こりがちなので、出国時に起きなくて本当に良かったです。
ウルトラマン挑戦を経て
今回の挑戦は多くの企業様、個人様、そして恵まれたクルーにサポートいただき実現できたので、スタートラインに立たせていただき、そしてしっかり完走ができて本当に良かったです。夢を応援してくださった皆様、本当にありがとうございました。実は今回、世界選手権の切符もいただけたので(権利は永久に有効)、また数年後に挑戦したいと思っています!
元々スポーツ観戦が大好きだったことから自身も運動をはじめ、『応援することの楽しさ』に加え『スポーツをすることの楽しさ』も教えてもらいました。私は各種目スピードもなく本当に平凡なホビーレーサーですが、そんな私でもULTRAMANになれたので、今挑戦してみたいことがある方は、ぜひトライしてみてほしいです!そして、私に運動するキッカケをくれたアスリートのように、私も挑戦や発信を続けることで誰かのきっかけになれたら嬉しいです。
今泉 瑞希を支えるサロモンのアイテム
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Genesis は、山を駆け抜けるアドベンチャーに最適なランニングシューズ。快適さはもちろん、ダイナミックで俊敏。自信をもった走りを実現します。耐久性に優れ、油断できない道でも正確な足運びを可能にし、険しい登りや、不安定な下りで実力を発揮します。ダイナミックなサポートをもたらすシャーシと確かなグリップを装備した、安心できる一足です。
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今泉 瑞希
競技:トライアスロン・ロードバイク
スポーツと旅を愛するトラベルサイクリスト。趣味はトライアスロン、マラソン、トレイルランニング、登山、乗馬、スポーツ観戦、等。最近は全国競輪場制覇(20/43)、日本百名山制覇(30/100)に夢中。
IRONMAN(スイム3.8km/バイク180km/ラン42kmの長距離トライアスロン)世界選手権フィニッシャー。