初めてトレイルランニングのレースに出る方、おめでとうございます。もっと長い距離、ウルトラトレイルのレースを走ってみたいという方もいるでしょう。プロ・トレイルランナーのフランソワ・デンヌによる、レースを楽しむためのアドバイスを紹介します。
初レースはまず楽しんで
初めてのトレイルランニングのレースでは、自分のタイムとか順位、選手の中でどれくらいのレベルかといったことは全く気にする必要はありません。競争と考えずに、自分の力を試すことや自然の中で過ごす時間を楽しみましょう。
レースに備えてトレーニングを重ねたり、食べ物や食事の仕方を工夫してきたかもしれません。しかしそうした努力のために苦労したり時間を要したことは一旦忘れましょう。そしてレースに備えてトレイルを走って楽しんだことを思い出しましょう。むやみに自分にプレッシャーをかけることはやめて、レースを楽しみましょう。
トレイルランニングのレースに出る人の大半の目標は、一日を楽しく過ごして無事に完走すること。この日のために準備してきたことが報われて、フィニッシュまでうまく走ることができたら、順位など関係なく充実した気持ちになります。それがトレイルランニングの魅力なのです。
あなたの身体からの声に耳をすます
レースを元気に完走するためには、自分の身体が発しているサインを読み取ることができるようになりましょう。ほかの持久系スポーツと同様に、トレイルランニングのレース中は自分の身体がどれくらい疲労しているか、常に気をつける必要があります。
レース中は常に次のポイントについて意識しましょう。
- 自分の身体の調子はどうか、気分よく走れているか?
- スタートから現時点までどんな調子か?
- 補給食や食事、水分補給は順調か?
- 自分の筋肉のなかでいつもと違う感じがするところはないか?つりを感じていないか?痛みをかんじるところはないか?
水分補給や食事は必要だと感じた時にするようにして、必要なら走るペースは落とします。
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コース中の登りを全部走る必要はありません。特に登りがたくさんある山岳コースのレースでは全部走ろうとしないように。トレイルランニングではしばしば歩いたほうがいいことがあります。急な斜面を登る場合には、無理に走るよりも早足で歩く方が体力の消費を抑えることができて効率がいいのです。
レース全体については次の言葉が参考になります。
ウルトラトレイルのレースを走ることは、山の中で一日を過ごすことなんだと意識しています。だから普段どおり飲んだり食べたりできることが大事です。フランソワ・デンヌ
呼吸の調子を意識する
初レースでは完走することが目標です。あまり頑張りすぎないようにしましょう。特に最初にペースを上げすぎないように気をつけてください。実際、スタートするときの高まった雰囲気に飲まれてオーバーペースになるランナーが多いのです。最初から速いペースで走るとレース後半には体力を使い果たしてしまいます。スタートはゆっくり、周りの選手は気にせずに自分のペースで落ち付いて走りましょう。そうして走っているうちに、スタートから飛ばしていた選手たちを次々と追い抜いていくことができます。
ランニング用の心拍モニターを使えば走っている間も自分の心拍数をチェックできます。他にも自分の呼吸からどれくらいの負荷が身体にかかっているか知ることができます。レースの間は他人と会話ができるくらいの呼吸を保つようにしましょう。これで心拍数を上げすぎることなく、持久運動に適した心拍数の範囲内に維持することができるのです。会話が難しいと感じたら少しペースを抑えましょう。
もちろん、急な斜面の登りでは息が荒くなることもありますが、それは普通のことなので気にしなくて大丈夫。しかし、平坦なところや緩い登りでは補給食や水分を補給しながら走れる程度のペースを守ってください。
下りは気持ちよく走れるスピードで駆け下りましょう。以上のアドバイスを参考にすれば最後まで力を出し切って走れるはずです。
登りとフラットで頑張り、脚の筋肉にダメージを起しやすい下りはセーブする。距離に応じてペースをコントロールし、後半歩き通しにならないよう前半のペースに気を配る。レースではエイドで長く滞在しすぎないよう気をつける。筋肉が冷えて次の動きだしが辛くなるし、折角一生懸命走って稼いだタイムもあっという間に無駄になってしまう。とにかくコンスタントにリズム良く動き続けるのが重要。
NIWA Kaori
フィニッシュまであと少し、ラストスパート!
あなたはレース中のペースに気をつけて、スタート直後にペースを上げすぎることもなく走れました。普段通りに食べたり飲んだりして、身体からの体調のサインも見逃しませんでした。フィニッシュまであと数キロとなり、身体にはまだ力が残っています。さあ、ここからはラストスパートです。
レースをいくつか完走すると、今度は自分の順位や、コースの累積高度、距離を意識するようになるかもしれません。ウルトラトレイルのレースに出てみようと考えるかもしれません。無事にトレイルランナーとしてデビューしたら、次は自分がどこまでできるか挑戦してみてください。そのためにはしっかりと準備してトレーニングも少しずつ増やす必要がありますが、経験を重ねていけば次第に高い目標に挑むことができます。それでも身体の声に耳を傾けて自分に合わせたペースで走れば、いつも笑顔でフィニッシュすることができるでしょう。